【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜

 
 と言われても……。どんなことを言えばいいのか分からないな。

「わたしはパフェが好きなので、作るならパフェがいいです」

「俺はチーズケーキがいいです」

 などと意見が次々と出る中、わたしは何も言えずにいた。すると……。
 
「森原さん、森原さんは何か作りたいスイーツってあります?」

 と、リーダーの片山さんから声をかけられた。

「え、わたしですか……?」

「はい。 森原さんもスイーツ開発部の一員なので、森原さんの意見もください」

「わたしで、いいんですか……?」

 と問いかけると「はい。もちろんですよ」と言われた。

「わたしは……」

 わたしが作りたいスイーツって、何だろう……?そう考えた時に出たスイーツは、一つだった。

「森原さん?」

「わたしが、わたしがもし作るとしたら……。アップルパイ、がいいです」

「アップルパイ?」

「はい。……わたし、小さい頃から母親の作るアップルパイが大好きだったんです。 落ち込んだり辛いことがあったりすると、お母さんが必ずアップルパイを作ってくれたんです。それを食べるとホッとして、落ち着けたんです」
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