【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
わたしがそう言うと、片山さんは「なるほど……。アップルパイ、ですね」と返事をした。
「あ、もちろん、アップルパイはシナモンを使っていますので、シナモン苦手な方もいるとは思うんですけど……」
と言葉を付け加えると、片山さんは「ううん、でもアップルパイ、いいかも」と言ってくれた。
「え、本当ですか……?」
「うん。だって森原さんにとって、アップルパイはお母さんの大切な味なんでしょ? お母さんの味を再現して作ってみるっていうのも、面白いしいいと思うな」
と、片山さんは笑顔で言ってくれた。
「みんなはどう思う?」
「わたしもいいと思います」
「俺も賛成です。 お母さんの味って、なかなかうまく出せないですし……。案外やってみる価値は、あると思います」
「わたしは正直に言うと、どっちもどっちですね。アップルパイって結構、予算かかりそうですしね……」
ミーティングではみんな率直な意見を出してくれる。 賛成の意見もあれば、もちろん反対の意見もあるから、それらは賛否両論だ。
だけどこうして話し合って意見をぶつけ合うのも、悪くないな……って思った。