【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 そしてお会計しようと席を立ったその時……。

「きゃっ……!?」

 誰かにぶつかってしまったみたいで、わたしはその衝撃でフラついてしまったようだ。

「おっと……!」

 どうやらそんなフラついたわたしを、身体で受け止めてくれた人がいたようだ。

「大丈夫ですか?」

「あ、す、すいません……!」

 わたしはすぐにその人から慌てて離れた。

「ケガはないですか?」

「は、はい。すみません、わたしの不注意で……!」

「いや、ケガがなくて何よりだ」

 と咄嗟に謝って顔を上げた瞬間に、わたしはその人から目を逸らせなかった。

「……えっ」

 ウソッ……。この人って……。

「どうかしました?」

 この人……。株式会社【スリーデイズ】の副社長さんじゃない……?
 なんでこんな所に、スリーデイズの副社長がいるの……?

「あっ……い、いえ! 本当にすみませんでした!」

 わたしは一瞬、頭の中がパニックになった。
 だって目の前にいるのが、メディアでも取り上げられているあの有名なスリーデイズの副社長、天野川大翔(あまのがわひろと)だったからだ。
 その姿を間近で見て、つい見惚れてしまいそうになった。
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