【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
やめてぇ……。そんなに期待してるとか言われると、ますます緊張してしまうよ……。
「頑張って、森原さん。わたしたちにもあなたの協力が必要だから。期待してますよ?」
「は、はい! 頑張ります……!」
片山さんからそんなねぎらいの言葉を頂いたわたしは、ますます頑張らないとと思った。
その日の夜、わたしは母に連絡をした。いつもアップルパイを作る時に使う材料、分量など細かく聞き出していき、そのレシピをわたしのパソコンに送ってもらった。
そしてアップルパイのレシピを眺めていると、突然鳴り響いたスマホ。 スマホの画面には、天野川さんの名前が表示されていた。
「もしもし……天野川、さん……?」
「由紀乃か?俺だ」
「……はい。由紀乃、です」
なんかこうして電話で話すのも、妙に緊張する。……なんていうか、電話越しだとまた、声が低く感じる気がする。
電話越しでの声もカッコいいって……。ヤバイかも。
「ミーティングお疲れさん、疲れただろ?」
「あ、いえ……。普通に緊張、しましたけど」
「そうか。 聞いたぞ、アップルパイに決まったんだろ?」
「はい」