【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
返事をするだけでも緊張してくる。……ヤバイかも、わたし。
相当緊張しすぎて血圧高くなりそうだよ……。
「由紀乃の母親直々のアップルパイか。……俺も楽しみだ」
「天野川……さん」
「由紀乃の母親のアップルパイ、俺も食べてみたいな。 どんなアップルパイなのか、気になるよ」
と、天野川さんは言ってくれた。
「……わたしも、ぜひ食べてもらいたいです。 わたしの母親の味、みんなにも食べてもらえたら嬉しいですし」
いつか本当にそういう日が来たら、嬉しいな……。わたしの母のアップルパイは昔から友達にも好評で、友達が家に遊びに来たりした時も必ずアップルパイを焼いてくれたし。
友達もみんな美味しいって言ってくれていたから、母のアップルパイはわたしにとって自慢なのだ。お店で食べるアップルパイよりも、母のアップルパイの方がわたしは美味しいと感じる。
「大丈夫だ。必ず来るさ、その日が。 実現させよう、必ず」
「……はい」
天野川さんの言葉は妙に力強いのに、優しさもあって、なんだか落ち着く気がした。
「由紀乃、今日はお疲れ様。……おやすみ」
「おやすみ、なさい」