【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
最初は社長って聞いていたから、ちょっと怖い人なのかなって思っていたけど……。そうでもないみたいだ。
とても息子思いの、良い父親って感じがする。本当に天野川さんのこと、大好きなのが表情からも伝わってくる。
「由紀乃さんは可愛い人だね」
「えっ、そうでしょうか……!?」
「おい、親父! いきなり何言ってるんだよ!」
ビックリしたのか、天野川さんが突然声を張り上げた。
「ああ、由紀乃さんは妻に似てとても可愛いらしい人だよ。 雰囲気が、妻に似ている」
亡くなった、天野川さんのお母さん……。そんなに似てるのかな?
「そう、ですか……?」
「おい、親父……!」
「いいじゃないか。……やはりお前も、母さんに似た人を選んだんだな」
そんな親子の会話は、なんとなく可愛いらしい感じがした。
でもわたしが、その亡くなった天野川さんのお母さんのことが気になったのは確かだった。
「親父、由紀乃は俺の大切な人なんだ。これからも幸せにしたい。……だから、由紀乃との結婚を認めてほしい」
「お前の選んだ人生だ。……好きにしなさい」
「……ありがとう、親父」