【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「よ、よろしくお願いします」
「はい。お預かり致します」
その数日後、わたしたちは大安の日を狙って、役所に婚姻届を提出した。
「こちらで受理致しました。 おめでとうございます」
提出した婚姻届は、不備もなく無事に受理された。
「……本当に夫婦に、なったんですね」
「そうだな。由紀乃は今日から、天野川由紀乃、になったんだな」
【天野川由紀乃】これが今日からの、わたしの名前。 名前が変わったということは、これで本当にわたしたちは、夫婦になったんだな……。
まだあまり実感が湧かない。天野川さんの妻になったんだという実感がない。
「あの、天野川さん」
と名前を呼ぶと、天野川さんは「何言ってるんだ。由紀乃だって天野川、だろ?」
「あっ……」
そ、そうでした……。やっぱり結婚したのだから、天野川さんと呼ぶのは変だよね。
「俺のことば大翔゙と呼んでくれると嬉しいな」
「ひ、大翔……さん?」
いきなり大翔さんなんて、恥ずかしいって……!
「さんはいらないけど……。まぁいいか、大翔さんでも」
だって名前を呼ぶだけで、緊張するよ……。