【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「……由紀乃」
「は、はい。何でしょうか……?」
名前を呼ばれて見つめられるだけで、ドキドキしてしまう。
鼓動が早くなって、やたらうるさくなる。
「今日から俺たちは夫婦だ。……由紀乃を妻として、一人の女性として、由紀乃のことを一生愛し抜くと誓うよ」
その言葉はまるで【プロポーズ】の言葉みたいで……。
「大翔……さん?」
見つめられたその目から、離せなくて……。ドキドキが高まっていく。
「だから俺のことも、一生愛し抜くと。そう誓ってくれるか?」
そんな愛の言葉を向けられたら……。
「……はい。誓います」
まるで結婚式をしているのではないかと錯覚を起こしてしまうような、そんな気がした。
「……大翔さん、ありがとうございます」
「こちらこそ。 さ、行こうか」
「はい」
大翔さんはわたしのその手を握ると、そのままギュッと手を繋いできた。
「……え?」
「夫婦になったんだ。 夫婦らしいこと、してみようか」
夫婦らしい、こと……。
「イヤなら、離してもいいぞ」
「……いえ」
そう言われたけど、わたしは離さずにその手を握り返した。