【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「まずは改良するために、いい所と改善すべき所をホワイトボードに書き出してみましょうか」
試食を終えた後、片山さんかの提案でホワイトボードに色々と書き出すことになった。
「まずは意見をまとめる所から始めましょう。その後のことは、また次回のミーティングの時にみんなで考えましょうか」
「は、はい……!」
「分かりました」
母のアップルパイの味をなるべくなくさずに生かす方法を考えることで、懐かしさと新鮮さを残すアップルパイが出来るかもしれないと、片山さんはわたしに言ってくれた。
わたしも母の味を残したいからこそ、この開発に携わっているのだ。……絶対に成功させたい、何が何でも成功させたい。
その日のミーティングが終わって本社の中を歩いていると、大翔さんがわたしの方に歩いてきた。
「おう、由紀乃」
「大翔さん、お疲れ様です」
と挨拶をすると「夫婦なんだから、敬語で話さなくてもいい」と言ってくれた。
「でも……」
「なんか敬語で話されると、距離を感じるから」
そう言われたわたしは「……分かりました。じゃない、分かった」と返事をした。