【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 迎えに行くからか……。そんな言葉、家族以外に言ってもらったことないから、妙にドキドキした。
 好きな人に言われたら嬉しい言葉って、こういうことなのかな……?

「悪い、由紀乃。もう行くな」

「はい。……じゃあまた」
 
 わたしは大翔さんから言われた通り、スリーデイズの本社があるビルの近くにある【コパン】というカフェに来ていた。
 そこでカフェラテを注文し、スマホを眺めながら大翔さんが来るのを待っていた。

「……早く来ないかな」
 
 大翔さんと結婚してから、外で食事をするのは初めてだ。 どんなお店に連れてってくれるのか、今からとても楽しみだ。




「由紀乃、遅くなってごめん。待たせた」

 仕事を終えた大翔さんがカフェにやってきたのは、定時を少し過ぎた17時半くらいだった。

「大翔さん、お疲れです」

「だから、敬語はやめろと言ったろ?」

「……うん、そうだったね」

 大翔さんはわたしの目の前に座ると「店には18時半に予約してあるんだ、行こう」と言ってきた。

「よろしく、お願いします」

「ほら、また敬語だぞ」

「……ごめん、大翔さん」
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