【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 敬語で話すなんてまだ慣れなくて緊張するけど、段々と慣れてくるものだと大翔さんは言っていた。

「ここだ、由紀乃」

「……え、ここ、ですか?」
 
 大翔さんが連れてきてくれたお店は、ちょっと古風な和食屋さんだった。
 
「ここは俺の行きつけの店なんだ」

「そ、そうなんだ……」

 行きつけのお店と聞くと、高級レストランとかを思い浮かべてしまったのだが、意外と古風な和食屋さんで驚いた。

「なんだ、高級レストランとかでも行くのかと思ったのか?」

「えっ!?」 

「その顔は、当たり、だな」

 ズバリ言い当てられてしまい、さらに驚いた。

「う、うん……」

「いきなり高級レストランだと、由紀乃が緊張してしまうかもと思ってな」

「……バレましたか」
 
 と言うと、大翔さんは「由紀乃のことだから、そうだと思ったよ」と言ってきた。

「よし、入るぞ」

「う、うん」
 
 大翔さんはわたしの手を握り、お店の中へと入っていった。
 
「いらっしゃいませ、天野川様。お待ちしておりました」

「わざわざありがとう」

 お店に入ると、スタッフさんが入口で出迎えてくれた。
< 46 / 191 >

この作品をシェア

pagetop