【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
敬語で話すなんてまだ慣れなくて緊張するけど、段々と慣れてくるものだと大翔さんは言っていた。
「ここだ、由紀乃」
「……え、ここ、ですか?」
大翔さんが連れてきてくれたお店は、ちょっと古風な和食屋さんだった。
「ここは俺の行きつけの店なんだ」
「そ、そうなんだ……」
行きつけのお店と聞くと、高級レストランとかを思い浮かべてしまったのだが、意外と古風な和食屋さんで驚いた。
「なんだ、高級レストランとかでも行くのかと思ったのか?」
「えっ!?」
「その顔は、当たり、だな」
ズバリ言い当てられてしまい、さらに驚いた。
「う、うん……」
「いきなり高級レストランだと、由紀乃が緊張してしまうかもと思ってな」
「……バレましたか」
と言うと、大翔さんは「由紀乃のことだから、そうだと思ったよ」と言ってきた。
「よし、入るぞ」
「う、うん」
大翔さんはわたしの手を握り、お店の中へと入っていった。
「いらっしゃいませ、天野川様。お待ちしておりました」
「わざわざありがとう」
お店に入ると、スタッフさんが入口で出迎えてくれた。