【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
大翔さんのお母さんのことを少し聞けたわたしは、ちょっとだけだけど、大翔さんと距離を縮めることが出来たような気がした。
「ごちそうさまでした」
すき焼きを堪能した後は、シメのうどんも食べた。お肉の脂や旨味が染みたタレがうどんに染み込んでいて、とても美味しかった。
「シメのうどんも、最高だったな」
「はい。すごく美味しかったです」
「それは良かった」
大翔さんの行きつけのお店に連れてきてもらえて良かった。こんなに美味しい物を食べられたことは、奇跡と言える。
大翔さんの好きな物を知れたりして、ちょっとずつ夫婦としての道を歩んで行けているような気がしていた。
「また連れてきてやるぞ」
「……はい」
「由紀乃、少し散歩しないか?」
「散歩?」
わたしと大翔さんは、食事を終えてお店を出た。 帰り際、大翔さんからの提案で少し散歩をすることにした。
「由紀乃と二人で、少し歩きたいんだ」
「……は、はい」
そんなことを言われたら、断れない。……大翔さんの言葉の魔法というのは不思議だ。
大翔さんに何かを言われるとそういう気になるし、なぜかキュンとしてしまうから。