【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


「お待たせしました。ホット紅茶になります。ミルクと砂糖はお好みでどうぞ」

「ありがとうございます」

 まずは昨日終わらなかった分の作業を終わらせてしまおう。
 そしてパソコンに入力作業をしていると、後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた気がした。

「分かってる。俺だって見合いは避けたいさ」

「大翔……」

 ……大翔? いや、まさかね……。
 でも今、お見合いって言ったよね……?

「でも親父さん、お前に結婚しろって迫ってるんだろ?南條ゆずと」

「ああ。……けどいくら言われても、俺はゆずとの結婚は出来ない」

 そんな会話が、後ろの方から聞こえてくる。

「南條、ゆず……?」

 え、南條ゆず……!? 南條ゆずって、あの南條ゆず……!?
 世界的に有名なピアニストの、南條ゆずのことっ……!? 
 すご……! 南條ゆずとの結婚話、しちゃってるんですけど……?!

「でもゆずちゃんとは、幼なじみなんだろ?」

「幼なじみだからって、それとこれは話が違う」

「南條ゆずと結婚したら、お前の人生は安泰だと思うけど? な、大翔」

 まさかね……。たまたま同じ名前ってだけよね?
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