【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜

 
 そう言われたのが、ウソかと思ってしまうくらいに一瞬だった。

「大翔さん……」

 そして頭の中で、大翔さんのその言葉を何度も繰り返していく。

「俺も由紀乃のことが好きだ」

 信じられない……。大翔さんもわたしのこと好きだなんて、信じられない。
 だけど気づいたら嬉しさで、涙が溢れてしまう。

「泣くな、由紀乃」

「っ……ごめんなさい。 嬉しくて……」

「俺も嬉しいよ、由紀乃に好きになってもらえて」

 そう言ってくれる大翔さんに、わたしはさらに涙が溢れた。

「由紀乃、実は由紀乃にプレゼントがあるんだ」

「……え?」

 プレゼント……? わたしに?

「手を出して」
  
 そう言われて右手を出すと、大翔さんは「違う。右手じゃなくて、左手だ」と言った。

「……あ、はい」

 言われた通り左手を出すと、大翔さんはポケットから何やら小さい箱を取り出した。
 
「由紀乃、遅くなってごめん」

 そしてその箱から小さな何かを取り出すと、わたしの左手の薬指にその何かを嵌めてくれた。

「え……これって」

「結婚指輪だ。買ってやれてなかったから」
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