【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
その会話が聞こえてくる度に、わたしは仕事に集中出来なくなっていた。
「……親父の言いなりで結婚はしない。 俺は本当に結婚したい人と、結婚するって決めてる」
「大翔……。お前そんなんじゃ、いつかスリーデイズから追い出されるかもしれないぞ?」
「……っ!!」
す、スリーデイズ……? 今、スリーデイズって言ったよね?
まさかその大翔って……もしかして……。そう思ったわたしは、思わず声のする方に振り返ってしまった。
「……っ!」
や、やっぱり……! 声の主は、天野川大翔だった……!
まさかまた、こんな所で会うなんて……! ていうか、なんでいるの!?
「とにかく、俺はゆずとは結婚する気はない」
「そうかそうか。 まぁ大翔と結婚できる人がいれば、いいけどな?」
「必ず現れるさ、俺にとって相応しい人がね」
やばい……。ここから動けない。
天野川大翔との会話を聞いてしまったわたしは、そこから動くことも出来ずにいた。
こんな会話を聞いてるなんてバレたら、何か言われるかもしれない。
そう思ったわたしは、そこから出ようと思ったのだけど……。