【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「……まぁ、はい」
だけど本当は、家での大翔さんは優しくて、独占欲が強くて……。
「でもさ、なんだかんだ愛されてるよね、天野川さん」
「え、そうですか?」
「そうだよ。 だって秘書さんの話だと、毎日定時で帰れるように詰め詰めのスケジュールにしてるらしいよ」
えっ、そうなの……!?
「そう。やっぱり天野川さんに、寂しい思いをさせたくないんだって」
「……そうなんですね。そんなことを」
寂しいだなんて……。わたしは全然、寂しくないのに。
どれだけ忙しくても、大翔さんは家に帰ったらわたしのことを抱きしめてくれるし。ちゃんとわたしの作ったご飯を食べてくれる。
「愛されてるね、天野川さん」
「……はい。ですね」
どんな形であれ、わたしは大翔さんに愛されていると実感する。 あんなに独占欲を露にされたら、わたしは抗えないのだ。
「いいなぁ。わたしも幸せになりたい」
「副社長と結婚した天野川さんは、めちゃめちゃ幸せ者だもんね。羨ましい」
「ありがとうございます。 わたし、今本当に幸せです」
と微笑みながら、左手の結婚指輪をチラリと見せてみた。