【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜


 ガシャン……!!

「やばっ……!」

 わたしはパソコンをしまおうとした衝撃で、紅茶の入ったカップを落としてしまった。

「やっちゃった……」

 カップを拾おうと座り込んだその時……。

「大丈夫ですか?」

 と声をかけてくれた人がいた。 てっきり店員さんかと思い「すみません、落としてしまって……!」と伝えたのだが……。

「……えっ!?」
  
 来てくれたのは店員さんではなく、後ろの席で会話をしていた天野川大翔であった。

「ケガは?」

「あ、いえ……。大丈夫です」

 まぁ一ヶ月も前のことだし、わたしのことなんて覚えている訳がないと思ったのだが……。

「あれ?……君、前に会ったことあるよね?」

 そしてわたしのその姿を見た天野川大翔から、そう告げられてしまった。  

「え……」

 ウソでしょ……。まさか、覚えているの?

「ほら、前にここで会ったことあるだろ? 確か君が躓いて転びそうになったのを、俺が助けたよな?」

 ま、マジか……。なんで覚えているの? 一ヶ月も前のことなのに……。
 覚えてることに、ビックリなんですけど……。
< 8 / 198 >

この作品をシェア

pagetop