【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
「……じゃあ、お願いしてもいいですか?」
「もちろんです。 剥いてきますね」
「ありがとう、天野川さん」
わたしは「はい」と返事をして、リンゴの箱が乗った台車を押して、キッチンカウンターへと向かう。
「美味しそう。いいニオイ」
目の前に広がるリンゴの甘酸っぱい香りがカウンターに広がると、なんかテンションが上がっていく。
「あ……リンゴの品種、分かるようにしておいた方がいいよね」
紙とペンと用意して、何のリンゴが分かるようにリンゴの品種を書いておく。
「皆さん、お待たせしました」
剥き終わったリンゴと人数分のフォークを持って、ミーティングルームへと運ぶ。
「ありがとう、天野川さん」
「早速食べてみましょうか」
片山さんからの一言で、わたしたちはリンゴを口にしていく。
「うん、美味しい」
「やっぱり美味しいね」
リンゴはそのままでも充分に美味しいものだ。水々しくて、シャッキとしている。
「これはジョナゴールドだっけ?」
「そうです」
ジョナゴールドは岩手県産の物らしい。 酸味は少なめで、しっかりと甘みもある。