【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
大翔さんもこんなに楽しみにしてくれているんだ。 早く完成させたいな、お母さんのアップルパイ。
そしてお母さんにも、食べてもらいたい。……お母さん、どんな顔してくれるかな。
「さ、食べよう」
「はい」
お互いに【いただきます】と手を合わせて、二人で夕食を食べ始める。
「ん、美味い」
「本当? 良かった。少し味濃いかなって思ったんだけど」
と言うと、大翔さんは「そんなことない。ちょうどいいよ」と言ってくれた。
「良かった」
美味しいと言ってもらえることが、何よりも嬉しい。 仕事で疲れて帰ってきた大翔さんのために一生懸命料理を作ることが、今のわたしにとっては幸せなんだ。
喜んでもらえるだけで、わたしは大翔さんの妻で良かったと、そう思える。
「このほうれん草のおひたし、美味いな。また作ってくれるか?」
「もちろんです」
そんなに喜んでもらえるなら、いつでも何回でも作ってあげたい。
「本当に由紀乃は、料理が上手だな。こんなに美味い料理を毎日作ってもらえるなんて、俺は幸せだな」
「……ありがとう、大翔さん」
わたしだって幸せだ。