【新作】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに愛を込めて〜
その通りだとは思う。完璧を求めるって、相当大変なことだ。
そんな簡単にうまく行くとは、到底思えない。そんな簡単に完璧が出来たら、みんな苦労はしないはずだ。
「例えば……大翔さんは、どこを改良した方がいいと思いますか?」
「そうだな……」
大翔さんは考え込むような表情を見せると、わたしに「リンゴは今一種類だけだよな? なら、リンゴを二種類くらい混ぜてみるってのはどうだ?」と提案してくれる。
「リンゴを二種類、ですか……?」
そんな考えは、わたしにはなかったな……。リンゴを二種類くらい混ぜてみる、か……。
「まあ、それもアイデアの一つってことだよ」
「リンゴを二種類……。なんか、もっと美味しくなりそうですね」
酸味と甘みのバランスの取れたジョナゴールドに、例えば煮崩れしやすいから、あんまりアップルパイには向かなそうな王林とかを混ぜたら、なんか面白そうかも……。
煮崩れしやすい王林とジョナゴールドを混ぜたら、多分だけど柔らかいジャムになるから、シャキシャキとした食感と柔らかいジャムの部分が絡んでより一層美味しくなりそう。
もしそれが成功したら、食感の違いを楽しんでもらえそうかも……。
「ありがとうございます、大翔さん」
大翔さんのアイデア、使ってみようかな……?