呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~

第26話



 クリスにすべてを打ち明けて以降、どんよりと重苦しかった心は軽やかになった。過去に囚われて苦しんでいたエオノラだったが、クリスが励ましてくれたお陰で今は前を向いて歩いて行ける気がしている。
 いつまでも悲しんでくよくよしているよりも、自分が進んでいくべき道や、今できることに集中する方が健全だ。

 エオノラは自身の部屋に構えている席に着くと、まずはこれから何ができるか整理するために紙に書き出すことにした。
 社交界デビューや結婚相手探しは考えなくてはいけないが自分一人の力ではどうにもできないことなので除外する。お茶会も参加したところでまだ腫れ物扱いされるはずなのでそれも除外だ。そうやって整理して絞っていった結果、残った事柄は二つだった。

 一つはクリスとクゥを夏終わりまで一生懸命お世話すること。
 もう一つはルビーローズについて調べることだ。
 クリスとクゥのお世話はできていると思う。定期的にハリーの従者へ報告をしているが特に苦情を言われたことはない。問題はルビーローズの方だ。
 意思を持つ貴石や鉱物石と意思疎通を図るには、直接対象物に触れる必要がある。対象物から音が聞こえるとはいえ、真意を測るのは至難の業だ。

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