呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
第27話
社交界デビューが決まってからは慌ただしくなった。ドレスや靴、宝飾品の最終打ち合わせに始まり、当日の髪型や化粧の確認をする。
これまでいつデビューするか分からなかったのでドレスや宝飾品の仕上げは流行を考慮して作業を途中で止めてもらっていた。
屋敷には連日針子やデザイナーが訪ねてきてどういう方向性にするかを話し合った。
髪型や化粧はイヴと一緒にどれが一番服装に合って美しく見えるか何度も熟考した。
急ピッチで進めた甲斐もあって舞踏会の二日前には全ての準備が完了したので、エオノラはほっと胸を撫で下ろした。
(先週から昨日まで死神屋敷へ行く暇がなかったから今日こそ顔を出さないと。何も言わずに行かなくなったから心配しているかもしれないわ)
エオノラはイヴに気分転換に散歩してくると伝えて屋敷を出た。最初は優雅に歩いていたが、通りの角を曲がって屋敷が見えなくなった時点で駆け出した。
息を切らしながら死神屋敷の庭園に到着すると、この間まで蕾だった淡くて黄色いモッコウバラが開花していた。
小道を進んだ先にある四阿へ足を運ぶとクリスが読書をしながら寛いでいる。
四阿に続く数段の階段を駆け上がるエオノラは、肩で息をしながらクリスの前に立った。