呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
第5章 社交界デビューと呪いの真実
第29話
天井中心の巨大なシャンデリアに灯りがともり、舞踏会場である大広間を照らしている。シャンデリアのガラスは煌めき、ダイヤモンドの様な輝きを放っている。
その下では大勢の貴族たちが集まって賑わいを見せていた。いよいよ社交シーズン本番を迎えた王都。その中心である宮廷舞踏会ともなれば貴族たちはこぞって参加する。
エオノラはゼレクと共に会場へと続く貴族の列に並んでいた。
今夜のエオノラの装いは淡い水色のすっきりしたドレスで、スカートには植物柄の精緻な刺繍が入っていて、揺れる度に銀糸が光に反射して輝いていた。顔には化粧を施し、露出している肌には真珠の粉を含んだパウターを付けているので艶やかだ。
髪は綺麗に結われ、花飾りとデビュタントの証しであるラペットが付いている。
デビュタントのドレスデザインは基本的に可愛らしいデザインが多い。しかし、悪い噂が広がって評判が芳しくないエオノラがそれを着ると返って野暮ったくなってしまう。よって、他の社交界デビューする令嬢たちとは違って大人びたドレスを選んでいた。