呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
「彼女を魔術院へ連れていくなんて私も嫌だ。そんなことをすればたとえハリーでも許さない」
「ちょっと落ち着け。まずは俺の話を聞いてからにしてくれ。別に俺は魔術院に連れて行く気はないぞ。あくまで好奇心だ! それと近々魔力持ちを魔術院へ強制的に生活させる法律は人権侵害の観点から改正することが議会でも決まっているし、父上も承認した」
ハリーは溜め息を吐きながら側頭部に手を置くとガリガリと掻く。
エオノラとクリスは互いを見やると、同時にハリーの方へ向いた。
「本当ですか?」「本当か?」と、声を揃えて尋ねるとハリーはそうだと即答した。
「まったく疑り深いな。少しは俺を信じてくれ!」
魔術院に行かないで済むと知り、エオノラは胸のつかえが取れてとても気が楽になった。
「……良かった。エオノラが魔術院へ連れて行かれなくて」
クリスも安心したようでほっとした表情を浮かべていた。
その後、ハリーは負傷した護衛騎士の救護に当たった。
血溜まりができていたので重傷を覚悟したが、足を怪我した護衛騎士が先に応急処置をしてくれていたお陰で大事に至らなかった。
重傷の護衛騎士の二人を箱馬車へと乗せたハリーは王宮へと帰っていた。後でクリスの迎えの馬車が来るように手配もしてくれるようだ。