呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
「そうだな。だからこのことは父上以外には他言しないでおく。魔術院だって、巫女の末裔と知ったらストーカーの如く追いかけ回して勧誘するだろうからな」
ハリーはわざとらしく冗談を口にした。
クリスは口元に手をあてて、暫し考え込む。
「……それなら私が常にエオノラに付き添えば問題ない。魔術院も手は出せないだろうし、これ程の虫除けはいないだろう」
「はあ、君の方がよっぽどストーカーだな」
ハリーはフェリクスの重症具合に頬を引き攣らせるしかなかった。
◇
ラヴァループス侯爵の呪いが解けたという知らせは王国中に知れ渡ることとなった。
王室はこれまで内密にしていたラヴァループス侯爵が実は王族であることを明らかにした。
アーサー王の息子の時代に呪われた王子は実は二番目の王子だった。王家が呪われているという秘密を守るため、アーサー王は二番目の王子が病死したなどとして隠蔽を図った。誰にも王子が生きていると知られぬよう、ラヴァループス侯爵の顔を見たら死んでしまうという噂を広げ、人々はそれを信じることになったのだ。
国王陛下は国民を欺いていたことを謝罪した上で、第三王子のフェリクスが呪いによってこれまで苦しんでいたことを語った。その後で呪いが解けたフェリクスを、もう一度王族の一員として復帰させることを宣言した。