呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
第41話
気分を害したので仕切り直すために脇に立っていた配膳係からシャンパンをもらうと、ぐいっと一気に飲み干す。
空になったグラスを返して一息吐くと、フェリクスと何故か目が合った。
(もしかして、全部見られていたの?)
一連の騒動を見られたいたのが恥ずかしくなったエオノラは頬を掻くと小さく手を上げる。フェリクスは緑色の目を細めて微笑み返してくれた。
それは隣にいられなくても、ずっと自分を見守ってくれているような暖かな眼差しで、たちまちエオノラの胸がとくとくと高鳴る。
「はあ。フェリクス様ったら、私を見て微笑んでくださっているわ!」
その声を聞いてエオノラはぎょっとした。
「……っ! アリア」
いつの間にか隣にはアリアが立っていた。
今度はアリアがリックを助けるように説得しに来たのだろうか。
自然と身構えるも、アリアはいつもの調子で無邪気な笑みを浮かべた。
「彼って物腰が柔らかくて笑った顔が素敵ねえ」
他の令嬢同様、アリアは頬を赤く染めてフェリクスへ秋波を送っている。
その様子にエオノラは再び違和感を抱いた。