【電子書籍・コミックス配信中】呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
番外編
芽キャベツを美味しく食べる方法
クリスの言葉で失恋から立ち直ったエオノラは、細やかながらお礼をしようと考えた。
(本当は贈り物を用意したいけど、男性ものを買ったらイヴになんて言われるか。あと、お兄様へ報告が上がってしまいそうだわ)
クリスとの関係は絶対に秘密。誰に贈るのか問い詰められても答えられない。
結局、エオノラにできるのは美味しい料理を作ることくらいだ。
エオノラは屋敷の料理人に教えを請い、美味しいけれど簡単で食べごたえのあるレシピを教えてもらった。味付けの配分だけ覚えていれば、あとはどんな食材でも美味しく食べられるらしい。
このレシピなら自分でも作れそうだと思い、エオノラは早速死神屋敷のガーデンハウスで料理を始めた。
――ところが。
「どうしたのかしら……いつもならもっといろんな食材を入れてくれるのに」
今日に限って入っている野菜が一種類しかない。
何故だろうと首を傾げていたら、隅の方に二つ折りの紙が置かれていた。
中身を確認すると、文字が綴られている。筆跡で誰か分かるわけではないが、すぐに差出人の見当がついた。
「これはハリー様の仕業ね。クリス様、怒らないと良いけど」
メモを畳みながら小さく息を吐く。