呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
「差し出がましいことを申し上げますが、お嬢様は何も悪くありません。そんな風に思わないでください。今は自分自身を大切にする時です。寂しくなったら私たち使用人が側におります。私たちはいつだってお嬢様の味方ですから」
後ろに控えていた使用人たちはイヴの言葉に力強く頷いている。
「……ありがとう」
皆の温かさにまた自然と涙が溢れる。
ハンカチで涙を拭いていると、ジョンが優しく声を掛けてくれた。
「お嬢様はもうすぐ社交界へデビューされます。いろんなことがこれから始まりますよ」
ジョンが柔和な笑みを浮かべて手で屋敷に入るように促してくれる。
エオノラは頷くと屋敷の中へと入っていった。
しかしこの傷が癒えるには時間が掛かるだろうな、と頭の隅で思うのだった。