呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~


 この宝石箱はジョンの言うとおり祖母が十歳の誕生日に贈ってくれたものだ。そしてこれを祖母から手渡された時、何かを伝えてくれた気がする。
(お祖母様が言っていたことは何か大事なことだった気がするわ。だけど……思い出せない)
 眉尻を下げ、エオノラはしげしげと宝石箱を見つめた。
 元の箱に戻すよりも、側に置いておけば何かの拍子で思い出せるかもしれない。
 エオノラは宝石箱を抱き締めると顔を上げた。
「これも手紙と一緒に持って行くわ。手伝ってくれてありがとう」
 ジョンはにこりと微笑むと、てきぱきと後片付けをしてくれた。
「さあお嬢様、お部屋にお戻りください。そろそろイヴが起こしに行く頃です」
「そうね。私がいないってなったらイヴがびっくりしちゃうわね」
 探すのを手伝ってくれたジョンにお礼を言うとエオノラは自室に戻った。

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