【電子書籍・コミックス配信中】呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
「ルビーローズの花を咲かせることができれば、クリス様の呪いは解けるんですよね。でも王国中を探しても花を咲かる方法は見つからなかった。そしてクリス様の呪いはまだ経過途中で、完全になると大変なことが起きる――要するにそういうことですね?」
「その通り。呪いが完全となったらどうなるかはクリスに直接話してもらってくれ。これ以上俺は痛い目に遭いたくない」
そう言ってハリーは盛大に噛まれた方の脛を擦った。
エオノラは口元に手を当てて考え込んだ。
内容は自分に危険が及ぶものなのだろうか。ハリーが非常事態と言うからにはその可能性はかなり高い気がする。
呪いが完全なものとなったらどうなるのか。
とても気になるところだがこれ以上ハリーの脛を犠牲にするわけにもいかない。後日きちんとクリスから話を訊くことにして、これ以上呪いの話をするのは避けることにした。
それからエオノラは約束通りクゥのご飯を用意してから屋敷に戻った。あれからクゥは何か悩んでいるようで、こちらが声を掛けても上の空だった。
何を考えているのか気になったが狼なのでエオノラが彼の考えを理解することは難しい。
時間も時間だったので魔術師が作った宝石箱に関する資料を小脇に抱えて帰ることにした。