呪われ侯爵の秘密の花~石守り姫は二度目の幸せを掴む~
「嘘……ブローチが鍵になるんじゃないの? お祖父様との思い出の品なのに」
落胆したが、まだ諦めるには早いと自分に言い聞かせた。
(宝石箱をしまっていた箱の中に、きっと鍵になる品があるはずよ)
絵はがきやハンカチ、宝石箱をしまっていた箱の中にある、ありとあらゆるものを片っ端から試してみた。しかし、すべての品で試しても箱が開くことはなかった。
「宝石箱の鍵は一体どこにあるの……?」
はあっとエオノラは深い溜め息を吐く。
こんな時、柘榴石のペンダントがあれば悩みを聞いてくれて、何かアドバイスをくれたかもしれない。そう嘆いていたところで突然あっと声を上げた。
「……柘榴石のペンダント。そうだわ、きっと宝石箱の鍵は柘榴石のペンダントだわ!!」
よくよく考えるとこの宝石箱を贈ってくれたのはあの祖母だ。
彼女が鍵だけ渡さずにこの世を去るわけはないし、柘榴石のペンダントは祖母が亡くなる前に「大切にして欲しい」と言ってエオノラに贈ってくれたものだ。
これなら辻褄が合う。
「だけど柘榴石のペンダントは修理中で手元にはないのよね……」
漸く答えに辿り着いたのに、今すぐ確認することができなくてがっくりと肩を落とす。
しかし望みがなくなった訳ではないとエオノラは自身に言い聞かせ、胸に手を当てる。(早く戻ってきますように……)
逸る気持ちを抑えながら、柘榴石のペンダントが早く戻ってくることをエオノラは祈った。