スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
宣言したレイの心拍は至って普通なのに、何故か私の心臓が異常な速さで動く。
魔法が完成したら私達の婚約はなかったことにするって言ってたのに、婚約者って言い張っちゃったら、私が家に帰る時どう説明するの?!
それに、大切で愛おしいって……そんな言葉あんな人前で言わなくてもっ!!
子供たちの無邪気な反応も、私の見た目を受け入れてくれるような優しい言葉で素直に嬉しいし……!
背中越しにこのドキドキが伝わっていないか心配なって身じろぐけれど、レイは腕の力を緩めてはくれなかった。
「レッレイ――!」
「舌を噛むぞ。口が閉じれないなら、俺が塞いでやろうか?」
「っ……!」
威圧的な冷酷非道の仮面を被ったままのレイは、横から顔を覗かせて不敵に笑う。
そっと唇の輪郭をなぞられて、身体に感じたことの無い痺れが走った。
黙るしか選択肢はなく、大人しくレイの腕に抱きしめられたまま街を抜けて、しばらく馬を走らせると林道に出た。