スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
移動中、この土地の気候や土質なんかの説明をしてくれて、まるで農業体験にでも参加した気分になって思わず、ソワソワしてしまう。
そしてスンドさんの足が止まった畑では、今度はレイがソワソワし始めた。
「スンド、使い心地はどうだ」
「いい土、いい肥料、そして質のいい作物……完璧と言って間違いはないだ」
「ここまで上手く成長するとはっ……!!」
レイが見つめる畑の作物はどれも質が良く、害虫による被害はほとんどない。
青々とした葉っぱには艶と光沢があり、湿った土はとても柔らかい。
かなり手入れが行き届いた質のいい畑に、私までも興奮してしまう。
こんな土で薬草育てたら……きっと薬草の効果も倍増する気がする。
そんなことを思いながら畑一面へと視線を動かした時、見た事のあるものに目が止まる。
「魔法陣……?」
レイの庭園でも見掛けた、魔法陣が畑の中心で薄ら光を輝かせていた。
「国王様が作られた魔法だ。あの魔法陣のお陰で、わしらの畑で育つ作物達はどれもいいばかり育つようになっただ。見放されたこの土地は最初は痩けた畑ばかりだったんだがな……これも全部国王様のお陰だ」
「レイの魔法で……」
「危ない魔法を生み出しているんじゃないかと勘違いされるかもしれないが、国王様はこの国を豊かにするための魔法をコツコツと一人で開発してるんだ。お陰で、我々年寄りの畑作業も随分と楽になって、腰痛もなくなっただ」
話の中心のレイは、いつの間にか作物を傷つけないように畑の中心へと向かい、魔法陣の観察を行っていた。