スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
熱心な眼差しで魔法陣を見ては、何度も頷いて何か手帳に書き記している。
「本当に、あんな良い人がこの国の国王様で良かっただ」
「……私もそう思います」
「嬢ちゃんにも国王様の魅力が分かるのか。それは良かった。変な偏見ばかりを向ける奴らもいるが、国王様はそんなこと気にしてないだ。ただこの国を良くしたい、そう思っている素敵な人だ」
「はい。私もそう思います。あの方は、とても優しくて、思いやりに溢れている人です。人を想い、自分のことを後回しにするのが、少し心配ですけど」
「くーっ!こんな素敵な女性と一緒になれる国王様は、幸せ者だなあ!……ああやって魔法の虜になっている時に邪魔しちゃなんだ。わしは仕事に戻るから、王都へ戻る時にまた声を掛けてくれだ」
桑を片手に清々しい顔で別の畑に向かうスンドさんを見送って、私は楽しそうに魔法陣を観察するレイを見つめた。
やっぱりあの人は不器用で優しい人。
それを分かってくれる人がここにはたくさんいることが、とても嬉しい。
楽しそうに生き生きしているレイを見ているのが私も楽しくなって、その場でレイのことを眺めていた。
時折物珍しそうな顔をする農民の方が差し入れにおやつを持ってきてくれて、私は護衛の人達とのんびりとした時間を過ごした。