スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
岩から引きずり出されるようにシュマが私の手を取って、レイの元へと連行されては従うしかない。
「レイ、土魔法を加えてって。精霊文字は――」
シュマに言われるがままに、レイに言葉を伝えていく作業。
別に面倒だとも退屈だとも思わない。
ただ以前に見たレイの魔法は、畑をいいものにするという画期的な魔法だったのに、今作っている魔法はなんと言うか……力任せのような雰囲気がある。
それもそのはずで、この魔法は戦争に役立てるものらしい。
戦争に魔法を活用するなんてことを考えるのは、やはりレイらしい。
「なるほど。この術式の組み合わせなら、可能性は十分に有り得る!」
「今度は成功しそう?」
「失敗したとしても、何度でも挑戦するだけだ」
覚えたてのものをいち早く習得したくてうずうずしている子供みたいに、レイは声を弾ませた。
「でもいいの?こっそりお城を抜けてきて。カイルさんにバレたら、また怒られるよ?」
「やるべき仕事は夜な夜な終わらせてきた。外交問題はカイルの仕事だ。俺には関係無い」
仕事の合間に私の元へとやって来ては、魔法のヒントを膨らませていたレイは、遂に我慢出来なくなって、お城を抜け出して来たのだ。