スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜


 そもそもこんな生活になるとも思ってもいなかったし、スキルを獲得してからこんな風に人の役に立つなんて考えたこともなかった。


「与えられたスキルは自分を苦しめるものだとずっと思ってた。それがこんな風に人に感謝されるなんて……なんかちょっと嬉しいかも」

「魔法では生み出せないもの……それがスキル。ルフィアは類い稀なる貴重なスキルを持っているんだ。それを誇っていい」

「誇る……かあ」


 このスキル【木霊の呼び声】は、努力して掴み取ったものでもない。

 自分の髪が嫌いになって、自暴自棄になっていたそんな時にシュマが現れて目覚めたスキル。

 どこか狂った私の運命の歯車が、偶然手にしたものだと言ってもいい。

 それを誇るなんて……私には当然出来ない。


「ルフィア自身が運命に抗うために、自らスキル掴み取ったんだぞ?誇らないでどうする」

「え?」

「スキルを女神からの恩恵だと言う者も確かにいる。ただ俺は神に与えられた人生の道から抗うために、獲得したものがスキルだと勝手に思っている。自分の限界や、自分の歩む道を塗り替えるための、反抗する手立てって所か」

「神に反抗する……」

「そうだ。ルフィアのそのスキルも、自分自身がこうなりたいからと獲得したんだ。それが実った証がスキルだ」




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