スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
自分の髪が大嫌いだった。
誰も話しかけてはくれなくて、忌み嫌われる毎日が嫌で嫌でしょうがなかった。
友達が欲しい、そう強く願ったあの時――シュマが私の前に現れて、初めてできた大切な友達。
君を守るからと勇気を与えてくれた彼は私に友達の作り方を教えてくれて、セドリックと仲良くなれた。
お城に来て、私は寂しかった。
慣れない城での生活の中、現れたユツィーという人形とも心を通わせて親しくなりたいと願った。
そんな彼女にも命が宿って、毎日私の世話を楽しそうにしてくれる一人の人間になった。
スキルを手にしてから、私の周りは少しずつ変化して居心地の良さが生まれていっている。
「今回の魅了無効だって、何かしらの抗いたい気持ちから獲得したんだろう。そうスキルに対して、悲観的に捉えなくていいんだ」
そよ風が私達の間をその通りだと言うかのように頬を撫でながらすり抜けて行く。
目から鱗だ。
言われてみれば全て私が願う通りになっている。
スキルがあるから何か出来なくなるんじゃなくて、スキルがあるから可能性が広がる……そういうことなんだ。