スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
「じゃあ、魅了無効も……もしかしたら私の中で何か必要なものだったりするのかしら」
「可能性は高い。最初の条件は上書きだが、本質を調べて上手く活用する方法を探す手伝いを俺はするつもりだ」
「レイは最初からそのつもりだったの?」
「いや、スキルの上書きなんてものを欲している人間なんか中々いないからな。好奇心の方が勝って、上書きの方法を探し出すつもりだった」
私を見ていい研究材料だとでも言いそうな顔を向けられ反応に困っていると、レイはそのまま言葉を続けた。
「ルフィアの本心がそのまま現れたスキルだ。俺は大切にしたい。ルフィアのありのままの願いを、俺は叶えてやりたいからな」
小さく微笑みながら目を伏せる彼から、溢れるばかりの優しさにそっと肩を抱き寄せられたようなそんな気がした。
誰かのことを常に想い、誰かのために深く追求し自分の手でそれを良くしようと努力する。
ああ……私すごい人の隣に今立ってるんだ。
こんなちっぽけな悩みにも耳を傾けてくれて、いい方向へと持っていこうと手をさし伸ばしてくれる。
レイ自身にもやるべき事はたくさんあって、戦争という恐ろしいものにも向き合っているというのに……私は甘えてばかりいた。
スキルがどうした、レイはたくさんの命を背負ってこの国を守るために動いている。