スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
草木の間に紛れ込まれては見つけられなくなりそうで必死に追いかけると、木々の根元で小石は私に知らせるように跳ねた。
なんだろうと恐る恐る近づいていき、見つけたものに私は目を見開いてその場に駆け寄った。
「可哀想に……」
足に血を滲ませる小さな白い子猫が、痛みと戦うように伏せていた。
子猫の周りにはこれといって何か罠があるわけでもなく、もしかしたら親とはぐれた時に他の動物に襲われたのかもしれない。
近づく私にも威嚇することなく、助けてと訴えかける力ない目で見つめてくる。
「大丈夫。なんとかしてあげるから」
ぐったりとした子猫を抱きかかえて、私はまだゴーレムに落胆していたレイに声を掛けると、彼の意識はすぐさま子猫に向いた。
真剣な顔で子猫の傷を見つめ、弱った子猫の頭を撫でる。
「随分と衰弱しているな。急いで城に戻って手当をしよう」
こんな時まで自分の感情よりも他者を優先に動く彼は、本当に優しくて素敵な人だと思う。
一刻も早く城へと戻る私達は、戻ったら戻ったでカイルさんの雷が落ちる事なんて事は何も考えてなかった。