スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
幸せの音色
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お城に戻った私達は周りがこちらに向けてくる視線を掻き分けて、医務室へと足を急がせた。
突然の事にお医者様も目を見開いて、状況に着いていくのに手一杯な様子だ。
人間相手ではなく子猫相手となれば、動揺するのも無理もない。
「ルフィア、庭園から傷薬に使える薬草を採ってきてくれ」
「分かったわ」
言われて急いで庭園へと向かい、数ある薬草の中から知っている薬草を手に取って全速力でレイと子猫が待つ医務室へと急ぐ。
戻る途中、医務室の近くに薬室があるのに気づき、薬を作る粗方の器具と材料を少しだけ借りて医務室へと戻ると、ピリピリと緊張感が滲む空気が流れていた。
真剣な眼差しで魔法で傷口の処置を施していくレイの後ろで、借りた薬研で薬草をゴリゴリと煎じる。
ここからの作業は普段店の手伝いをしている私にとっては朝飯前の作業だ。
採ってきた薬草を薬研で磨り潰してから混ぜ合わせ、湯煎し抽出した成分を蜜蝋と共に練り合わせていけば、傷によく効く塗り薬の完成だ。