スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
しばらくしてレイが戻ってくると、彼の後ろに今にも泣きそうな兵士達が列を成して医務室へと入ってきた。
その中には視察の時に一緒になった、ラジールくんもいた。
「あ、ルフィア様」
「怪我大丈夫?」
「はい……それよりも、怒られるんじゃないかって恐怖の方が勝ってます」
ラジールくんを先頭に兵士達は順番に椅子に座り、おっかなびっくりな様子でレイとお医者様の治療を受けてくれた。
まだ騎士団に入りたてだというラジールくんの手にできたマメを見て、剣の持ち方や姿勢なんかを的確に淡々と指導するレイに、あれだけ怖がっていた彼の顔色は和らいでいく。
これで変な噂を流されることなく、レイの評判は改善される方向に近づくはずだ。
「鍛錬を怠るなよ」
治療を終えたラジールくん達はレイの言葉に綺麗な敬礼をして見せると、医務室を後にした。
この場に用が無くなった私達も医務室を去ろうとしたけれど、忘れていた存在が私達の行く手を阻む。
「レーイーさーまー?仕事を放置した挙句、僕に全てを押し付けて婚約者様と仲良くデートでございますかあ??へえー!いいご身分ですね!!」
レイまではいかないが、明らかに怒りのオーラを隠すことなく放つカイルさんの姿に、二人して動きが止まる。