スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜



 忘れてた、私達お城をこっそりと抜け出していたんだった。

 子猫のことで頭がいっぱいになっていたせいで、怒られる準備はまだ整っていない。


「あー……これには訳があってだな」

「言い訳ご無用です!まっったく!国王という立場の人間が城を抜け出すなど、あってはならない事ですよ!!」

「お前を頼りにしているからこそ成し遂げられたぞ」

「あー……もう、なんで僕がいつもこんな目に……」


 怒っても中々反省の色がないレイに、半ば諦めた雰囲気のカイルさんは頭を抱えながら壁にもたれかかった。


「急遽開かれることになった明後日の会議には、必ず参加してくださいね。敵国の火の粉がこちらにも降りかかりそうになっているんですから」

「何かあったのか?」

「ここで話すのもあれですから、まずは部屋に戻りましょう」


 あまり聞いてはいけない話だと思って、ここでレイとは別れる気持ちでいたけれど、着いてきてくれと訴える彼の瞳に渋々私も後を追いかけた。

 レイに対して怒ってはいるものの、どこか甘いカイルさんは私が同行するのには何も言わず、どこか申し訳なさそうな顔を向けられた。

 カイルさんも色々と大変よね、こんな風にレイに振り回されても仕事はやるしかないんだもの。

 同情の目をカイルさんに向けながらも、レイの執務室に辿り着いた私は促されるようにソファーへと座る。




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