スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
自分の愛する国を他人の手で汚されてたまるものかと、熱い炎が静かに燃えているように見えた。
「使者がやって来るのは五日前後の予定になってます。それまでに何かこちらも策を練っていた方がいいかと」
「随分と早い到着だな。仕方ない、城内の魔法もそれなりに準備しておくか」
「無茶苦茶な魔法はやめて下さいよ?城で働く者達が怯えてしまいますから」
「……程々にする」
指摘されなければきっとやりかねなかっただろうレイは、僅かに小さくなった気がした。
こうやってレイを静かに指せるのは、カイルさんに勝るものはなさそうね。
これからの城での生活はピリピリした空気が走っていくというのを頭に入れつつ、白虎を撫でていると厳しいはずのカイルさんがレイに一つ提案した。
「これから息が詰まるような生活が始まるでしょう。疲れを溜めるわけにはいきませんから、明日は休息日としましょう。どうぞゆっくり過ごして下さい」
「久々の休日か。悪くないな」
「……そう言いますけど、今日もお忍びデートしてきてますからね?いいですか。今からは仕事に切り替えですよ。明日のためにうんと書類仕事してくださいね!」
都合の悪いことは聞こえないのか、レイは先程までの怒りを滲み出した空気を何処かへ消して、楽しそうな顔をして見つめてくる。
「そういう訳だ。ルフィア、明日も俺に付き合ってくれ」
「せっかく休む時間出来たのに、ゆっくりしなくていいの?」
出来ることなら、ぐっすりと寝かせてやりたい気持ちの方が強いんだけどな……。
レイの瞳からは、ゆっくりと休むという選択肢は持っていないと訴えかけてくる。