スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
分かっているのに、なんか……そう思うと切ない気持ちが勝る。
「ふう……」
溜め息と共に変な感情を体から吐き出す。
最初からスキルを解消してもらうために、私はここにいるんだから、そんな感情になる方がおかしいのよ。
レイの役に立てるように私は動くだけ、それでこの国が良くなるならそれでいいじゃない。
「今日はどういう風に過ごすの?」
気持ちを切り替えるべくレイに尋ねるように彼の瞳を覗くと、仮面を被っているのにその瞳にはキラキラした光が宿っている。
まさか……また魔法?
「危ないことは駄目だよ?」
「危険は伴わない。特に俺にはな」
「……ん?」
言ってることがよく分からなくて、レイについて行くことしか出来ずにいると、辿り着いた場所で思わず顔を顰めた。
「ユート!シエン!」
大きな扉を開いて直ぐに彼らの名前を呼ぶと、その場の空気が凍りついたのが分かる。