スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
誤解を取り除かない限り、レイの評判は中々改善されないんだから……困ったものよね。
「どこの誰かが書いたのかは知らんが、俺の戦場での戦い方を面白おかしく新聞に書く奴らがいるらしいな。実際見たわけでもなく、風の噂で聞いたことを想像で膨らませて書いた記事ばっかりだとカイルからは聞いている」
「戦地を火の海で燃やし尽くしたとか、土の中に引きずり込む禍々しい魔物を解き放ったとか……ってやつ?」
店にいた時に、師匠が面白そうに声に出して読んでいた記事を思い出す。
確かにレイのことを知りもしなかった私は、それを鵜呑みにしていた気がする。
私の話す記事の内容に驚いたのか、レイが勢い良く抱きしめていた腕を解いて肩を掴んできた。
「それが本当に書かれていたのか?」
「うん。確かにそう書いてあった」
「火の海……あれか?スンドの畑で品種改良中に手に負えない程の大量になってしまった、やけに辛味成分の強い赤い野菜を魔法と掛け合わせて砲弾代わりに使ってそこら辺一体の地面が赤く染まったやつだな」
「嘘でしょ……?」
「土に引きずり込むってやつは、試作段階中の土魔法が失敗して敵のいた地面を底なし沼にしてしまった戦いか。あの策略は今後も応用が効きそうな戦い方だったがな」
どういう戦い方をしてるの、この国王様は……。
見たことも経験したことも無い戦いに、お互いの兵士が困惑しただろうに。