スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
あまりの無鉄砲さに敵の兵士だけでなく、自国の兵士達もレイの魔法という力に恐怖で身を震わせたに違いない。
「どちらの戦いも死者を一人も出さずに撤退していったんだ。まだまだ魔法の改善の余地はあるという結果が出てしまったが……」
ガッカリするポイントがよく分からないけど、やっぱりこの国王様には冷酷非道なんて言葉似合わない。
戦い方は豪快だったけど、兵士の生命を最優先にしている国王様は皆から愛されて慕われる存在のはずだから。
「本当は戦争なんてものしたくはないんだ。争いは常に憎しみを生み出すだけだからな」
「命を奪い合ったって……何も解決しないものね」
「ああ。その通りだ。俺は絶対にこんなくだらない争いを終わらせる。守りたいものを守るために」
真っ直ぐに見つめられて、妙にドキドキする気持ちがバレないように胸を握りしめた。
なんでだろう、この優しさを皆に教えたいと思うのに……誰にも教えたくないと思う自分が見え隠れする。
こんな考えはおかしいのに、どうしてそんな風に思ってしまうのだろう。
相手はこの国の王様だ。自分はそんな国王様の役に立つためだけの人間なんだと、自分に強く言い聞かせる。