スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜




 セドリックに頼んだ時は、きっと彼にそういう気持ちがなかったから。

 でも……じゃあ……え?

 混乱した頭の中で、一つの大きな疑問が渦を巻く。

 レイに反応していたのは……それってつまり――。


「お取り込み中、失礼致します」


 一つの考えがまとまる前に、大きくその声が響き渡った。

 普段なら必ず扉を叩いて返事を待ってから入室してくるはずのカイルさんが、冷静を辛うじて繋ぎ止めているかのように顔を強ばらせて乱暴に扉を開けて入ってきた。

 カイルさんの様子に、レイに緊張が走ったのが分かる。


「ご報告です。シェルバム国が挙兵したとのことです」

「場所は」

「コームステア地方。兵力八千程度です」

「まだ試作の魔法陣しかない場所か……すぐ挙兵の準備を。支度が整い次第、直ちに戦地に向かう」

「はっ」


 指示を受けたカイルさんは踵を返して、廊下を駆けていく足音を響かせては消えていく。




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