スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
偽物と候補者
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手に持っていた煌びやかなランプを街の広場の木の枝に取り付け終わり、額に薄らとかいていた汗を拭う。
辺りはすっかり夕暮れ時に染まっていて、色とりどりのランプの灯りが優しく揺れながら灯火を描いていた。
「助かったよ。ありがとうねえ」
「お兄ちゃん、姫様ありがとう!」
「いえいえ。お役に立てたなら良かったです」
街の人達の飾り付けを手伝いながら、私もランプ一つ一つに願いを込めながら作業を進めていくうちに、心の奥底で私を蝕んでいた苦しい気持ちが晴れていくのが分かった。
同じように帰りを待つ人達が傍にいると思うと心強かったし、小さな子供達が自分の父親は絶対に帰ってくると言い張るその信じる気持ちを、私も見習わなければと奮い立たされた。
飾り付け終わった広場には溢れんばかりのランプの灯火が、彼らの帰り道を照らしている。
「これでレイ達も迷わず帰って来れるわね」
「そうですね。これで迷ったら方向音痴だと、からかってあげましょうか」
「ふふ。そうね」
本当に迷ったとしても兵士の皆は、怖いレイを前に自分達のせいなので、陛下は何も悪くありません!なんて、慌てて言いそうだけど。