スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
そんな風景が思い浮かび上がるほどに、私の心は軽くなっていた。
飾り付けを一緒にしていた街の人達と別れ、帰っていく姿を見つめながらそっと胸を撫でた。
「ラジールくん」
「なんでしょう?」
隣でランプの灯りを見上げる彼に声を掛けると、ゆっくりとこちらへと視線を向けてきた。
「……私を連れ出してくれてありがとう。酷い顔でレイを出迎える所だったわ」
「俺が出来ることをしたまでですよ。ルフィア様には笑顔が似合いますから」
どこか照れくさそうにしながらも、ポンッと頭を撫でてきたラジールくんは慌ててその手を引っ込める。
「すみません……余計な事しました」
「ううん。気にしてないよ」
彼の励ましが嬉しくて、嫌な感情は何一つとして湧いてこない。
強いて言うなら、レイにも頭を撫でてもらいたい……なんてそんな気持ちが滲むだけ。