スキル〖魅了無効〗を獲得しましたが、甘い言葉に溺れたい〜溺愛?何それ、美味しいの?〜
ハイネの周りにも途切れることなく子供達がやって来ては、賑やかな笑い声が耐えない。
皆が笑顔を零していく姿を見て心の中で飛び跳ねていると、馴染みのある声が私の名前を呼んだ。
「すごい賑わってますね」
「カイルさん……!」
「印象改善はどうやら成功しつつあるようで」
周囲を見渡すカイルさんは街の人の反応を見て、納得したご様子だ。
「でも驚きましたよ。突然露天商街で立ち売りをしたいと申請された時は、何をするのか全く予想が着きませんでしたから」
「カイルさんにしか頼めない事だったので、快く承諾してくれて感謝してます」
「いえ、こちらこそ我が主のために動いてくださり心より感謝申し上げます」
レイ達が帰ってきた翌日、私はカイルさんの元へと駆け込んでこの提案を持ち込んだ。
最初は無償で香り袋を配る予定だったけれど、売り上げの金額を戦争の物資等の給付金に当てることは出来ないかと、カイルさんの提案によって販売する形になった。
そこから三日間、香り袋の作成に勤しんで、悲しみを吹き飛ばしてレイの為に私が出来ることを精一杯やろうと言う気持ちで今日までやって来た。
あの日から一度もレイとは顔を合わせてはおらず、私の中では気持ちに区切りがついて成功した暁には最後の行動を起こすつもりでいる。